「第9回奈良県消費者行政懇談会」を2月12日、奈良市の奈良弁護士会館にて開催しました。本懇談会は奈良県行政と当団体会員・役職員が一堂に会し、消費者団体と消費者行政の情報交換や連携をすすめるため毎年度開催しているもので今回で9回目となりました。参加者は行政・団体あわせて18名で、消費者トラブルの現状や課題などについて活発に意見が交わされました。
〇奈良県地域創造部県民くらし課の藤本和巌課長が、冒頭の挨拶の中で消費者を取り巻く環境について紹介されました。特殊詐欺の増加、相談件数も高水準で推移し深刻な状況。県としても注意喚起の広報と被害防止に向けた施策を推進しているところではあるが、行政だけでなく消費者や消費者団体との協働も重要であり、その中核的な存在としてなら消費者ねっとに期待している、と話されました。
〇続いて以下の報告が行われました。
①「奈良県の消費者行政における主な取り組みについて」:奈良県県民くらし課
②「奈良県の消費生活相談の状況」:奈良県消費生活センター
③「事案検討活動報告」(文書報告)「その他の報告(県委託事業・事業者向けセミナー他)」:なら消費者ねっと
〇報告を聴いた後、フリートークで意見交換を行いました。主な話題と、質問やご意見を紹介します
・新聞契約のトラブルが増えているようにみえるが、要因は?→直接おおきな要因があるわけではないが、「数年後から契約が始まる」タイプの契約が増え、高齢者にはとても分かりにくく混乱する、といった問題が発生している。
・イベントなどで県警がお勧めしている電話に取り付ける機器がある。電話勧誘に効果はあるのか。→ナンバーディスプレイの機能はかなり高いと考えられる。→取付に補助金はありますか?→自治体で補助しているところがある。
・なら消費者ねっとでは「見えないおかね」などの金銭教育をすすめてきた。学校教育の現状を知りたい。→「金銭教育では、だまされないための知識の他、おかねの計画的な使い方にも力を入れている。NISAなど投資に関する知識も大切。→小中学校ともにカリキュラムはキツキツ、環境やジェンダー等学ぶこべきテーマとが非常に多い。その中での金融教育の確保を頑張っている。
・ロマンス詐欺や、超有名人のなりすましSNSの横行。情報源をインターネットに依存するのは良くない。
・悪質なWEB広告は高度化・巧妙化していて特商法規制で取り締まれるレベルでなくなっている。
・悪徳業者ではなく誠実に事業をしている業者が問題になることもありうるので、知らせていきたい。→事業者セミナーもやってよかった。これをスタートに、知名度上げて学習活動を積極的にやっていきたい。→自分だけは関係ないと思う人が多い。自分事に感じられるきっかけを増やしていくのが大切。
・同類の案件に関しては相談員同士の情報交流ができると解決しやすいのではないか。
・生協活動の中で消費者問題に触れることが多い。高齢者のトラブルが話題になりやすいが、若い世代のことも知りたいと思う。世代別データを提供して関心を引き寄せることもできる。
・ねっと依存の世の中、最近丁寧な説明をする銀行に感動したことがある。いろいろな情報源を持つことが大事だと思う。
〇北條正崇理事長が閉会のまとめを行いました。
事業者の間でも話題になり、相談員さんにも活用してもらえるよう知名度を上げるのは大きな課題だと思います。差止訴訟があれば記者会見などで注目されるのではと考えています。寄せられる情報も増えつつあり、準備を進めているところです。人をだまして悪いことをする企業はAIも駆使してハイテク、他方で我々は慎重な議論と様々な手続きを経て確認しながら活動するので忸怩たる思いもあります。全国の活動実績や財政状況を調査した研究論文が出ているのですが,どの団体も財政は苦しく、しかもボランティアで支えられ何とか運営できています。その中で、このようにに委託事業などの形で行政からの支援をいただき活動できることは大変ありがたく、これからも期待にこたえられるように頑張っていきたいと考えております。