そのクリック、大丈夫?
スマホに潜む だましの仕組み
開催日時・場所 : 2026.6.13 奈良弁護士会館3階大会議室
講師:小川 晋平さん 一般社団法人ダークパターン対策協会代表理事
2026年6月13日、第11回通常総会記念企画として、今、インターネット通販などを利用する消費者を悩ませている、いわゆる「ダークパターン」について詳しく学ぶ講演会を開催しました。講師には、一般社団法人ダークパターン対策協会から、代表理事の小川晋に平さんをお招きしました。会場には県内の消費者の方や当団体で活動する委員、消費生活相談員等、幅広い方々が参加、講師の話に熱心に耳を傾け、最後の質疑の時間では活発に意見と質問がかわされました。
講師の小川晋平さん
■■講師のお話 ポイントを抜粋して紹介します■■
1. ダークパターンとは、消費者の心理を巧みに操り、気づかないうちに不利な判断をさせてしまう不適切なデザインのこと。「解約ボタンが見つからない!」「お試しのつもりが定期購入に!?」「カウントダウンタイマーで焦らせる・・・」など。被害規模は 日本国内のBtoC市場(約26兆円)の中で、年間約1兆円にのぼると推定さます。
2.具体例を挙げると、「インターフェイス干渉(都合のいいように事前選択させる)」「執拗な繰り返し」「妨害(価格比核をわかりにくくする)「こっそり(料金などを最終画面でようやく表示、定期購入を最終段階まで隠す)」「緊急性(在庫わずか)」などがあります。
3. なぜ騙されるのか、行動経済学的メカニズムで説明します。人間には、直感的に素早く判断する「システム1」と、論理的に熟考する「システム2」という2つの思考パターンがある。ダークパターンは、この「システム1」や認知バイアスを悪用し、消費者にじっくり考えさせず(システム2を働かせず)購入や契約へ誘導します。これを回避するには、①「一晩寝る」などして「時間を置く」、⓶「本当に買いたいのか」自分に問いを投げかける、③第三者の視点を持つなど、意識的な「システム2」への切替えが有効。
4. 事業者が使う背景には、短期的な売上目標(コンバージョン率)を優先し、たとえ大手企業でもブランド価値を毀損してでもダークパターンを採用してしまう実態があります。また、WEBサイト構築を外部に委託した際、委託業者の示すWEBデザインの提案を無批判に受け入れることで、意図せずダークパターンが組み込まれるケースも存在します。
5. ダークパターンを使うと儲かる世の中は正しいのでしょうか。消費者が正しい選択・判断ができるよう「誠実な企業を評価する」仕組み作りを推進することが必要です。法改正の議論もありますがそれだけでは追いつきません。当協会では誠実なWEBサイトを消費者が一目でわかるようにする仕組みを考えました。「NDD認定制度」といいます。これには消費者団体が現在5団体、認定審査機関に登録しています。この制度が普及・定着していくことを目指しています。
■■なら消費者ねっとの事案紹介(N¥33 美容クリーム販売サイトの事例)■■
講演の後、当団体で不当な事業行為を行う事業者等に是正申入れの活動を行っている検討委員会の委員長竹内大敬弁護士が、最近取り扱った事案の中からダークパターンの手法がみられる「N33 美容クリーム」事案について報告しました。この事例ではカウントダウンによる「焦らせ」や解約困難などのパターンがみられました。
■■講師と一問一答!質問コーナー■■
○この後、講師と会場参加者の一問一答で質疑を行いました。
「ダークパターンを直接規制する法律は?」「偽広告やフィッシングメールの入り口となっているSNSの運営者への規制や働きかけは?」「騙されてしまうのは消費者のせい?」「WEB制作ベンダーの規制」「高齢者への啓発はどのように?」など多数の質問が出され、講師が一つ一つ丁寧に回答されました。
■■参加者アンケートで寄せられた感想(抜粋)■■
・「システム1とシステム2」の部分、人間の脳・心理の面から。 免勉強になりました。1時間強の内容でありましたが、講師の小川先生の話し方もわかりやすく、とても有意義でした。
・今、ネットの中にあふれているダークパターンの被害の現状と、その被害をなくしていくために活動されている、講師の小川先生の熱い想いが伝わってくる、講演でした。相談員としても、それらの手口を見逃す。PIO-NETに記録していくことが、今後の法改正にも、つながっていくという思いを新たにしました。
・高齢者もスマホは必需品です。クリックするのに悩むことが度々ありますが、先に進むためには何かクリックしなければいけないし。ですが、一晩寝てから考える方がいいんですね。
■■総会と講演会のまとめ 中西伸之副理事長■■
・数日前、サッカーのワールドカップを視聴するために動画配信サイト「D」に加入した際、まさにダークパターンの罠に嵌まってしまいました。2つのプランのうち低価格で有利に思えたプランを選択し、実はそれが「1年間の契約(総額約2万6千円)」であることを見落とすような表示形式になっていたました。ニュースで気づき解約を試みましたが、窓口が非常に分かりにくく、チャットも繋がりません。
・今回の「非常に腹立たしい」実体験を、単なる失敗として終わらせるのではなく、今後の消費者保護活動の糧として活かしていきたいと、決意を新たにしたところです。